島熊山の自然

画像はクリックすると拡大します。

1  スイカズラ   2  ミツバアケビ

3  コバノミツバ       ツツジ

4 アキグミ 5 ヤダケ 6   アカマツ
7 コナラ 8 コウヤボウキ

9  アカメガシ

    ワ

10 モウソウチク 11  ヒサカキ 12  モチツツジ
13  イヌビワ 14  ソヨゴ 15 ヤマモモ  16  カマツカ 17 アラカシ 18 マルバアオ          ダモ
19  タンキリマ         メ 20 ハゼノキ

21  ツルアリド  

      オシ

22 ワレモコウ 23 イチョウ

24 ミヤマガマ          ズミ

25  キリギリス 26  ヤブコウジ

27 オオキンケ

      イギク

28  大マリケム         シ

29  ノブドウ 30 カスミザクラ
31 クズ 32 シュロ

33  オオジシバ

       リ

34  アオキ 35 ナキリスゲ 36 カルガモ

 

 37  ゴンズイ

 

38  オオシマザク                ラ  39  カメムシ  40 サクラ冬芽    

40 サクラの冬芽

 

桜の開花は大阪より東京の方が早いのが不思議でした。夏に形成された花の蕾は秋には冬芽(写真)の状態で眠りにつきますが、氷点下の寒さが続くと目覚める(休眠打破)そうです。寒さが厳しい東京の方が目覚めが早いのが原因のようでした。

 島熊山緑地の駐車場周辺には3種類の桜があり、それぞれ個性的な姿で越冬しています。毛深いコートを着ているように見えるのはソメイヨシノです。ヤマザクラとカスミザクラは毛が無く、つるんとした芽鱗(がりん)に包まれていますが、ヤマザクラは芽鱗の先端が少し外に開いているのが特徴です。

(参照:文一総合出版 冬芽ハンドブック)



39  キマダラカメムシ  (かめむし科)

 

体長2㎝を超える国内最大級のカメムシです。写真は島熊山緑地の十字路付近の柿の木に止まっているところを撮ったものです。光沢のない黒褐色の背中や脚に黄色の斑点があります。セミやタガメとともに昔は半翅目(はんしもく)と呼ばれた昆虫の仲間で、共通して他の生物の体液を吸うための注射針のような口を持っています。

 台湾~東南アジア原産の外来種で、成虫の姿で越冬し、ベランダや屋内にも飛来することがあります。地球温暖化の影響でしょうか、子供の頃には見たことのない生き物に出会うことが出来ることは良いのやら悪いのやら。ところで、このカメムシは臭くないそうです。



38  オオシマザクラ  (バラ科)

 

 3月下旬から4月上旬は島熊山の桜達が順番に咲き競います。竹林の南斜面、外周の歩行者専用道路沿いに紅白2本の桜があります。咲く順番はいつも決まって赤い方が先に、白い方が一週間ほど遅く咲きます。両者とも花びらの色は白く、遠目に見る色の違いは、開花と同時に展開する若葉の色の違いによるものです。赤っぽい葉を出すのは在来のヤマザクラで、黄緑色の葉を出すのが人為的に持ち込まれたものと考えられるオオシマザクラです。

 オオシマザクラは元々伊豆大島付近の限られた地域に分布していたもので、ソメイヨシノの片親として知られています。また、桜餅の餅を包む葉として用いられたり、交配用の園芸品種として広く植栽されたようです。すらっとした無毛のがく筒や葉の緑の鋸歯が鋭く糸のように尖っているのが特徴です。



37  ゴンズイ  (ミツバウツギ科)

 

関東地方以西の低山の雑木林で普通にみられるとはいうものの、島熊山では希少種です。

この写真は駐車場から南に向かう尾根筋の左側で、ハゼノキやヌルデなどの灌木に交じって生えていたのを2007年10月に撮影したものです。春から夏にかけて緑の葉を茂らせている間は気が付かなくても秋になると種子の外側が赤く色づいて目に付くようになるので、

野鳥の目にもわれわれの目にも止まるようになります。

 島熊山にはこれとよく似た種子を付ける植物があと二つあります。タンキリマメとクサギです。ともに種子は黒っぽくて目立ちませんが外側の莢であったり、がく片に当たる部分が赤く色づきます。

 今年11月に島熊山緑地での自然観察会が2回ありました。タンキリマメとクサギは見かけましたが、ゴンズイの姿は残念ながら確認できませんでした。せめて埋土種子として生き延びていてくれることを祈るばかりです。



36 カルガモ   (かも科)

 

求愛行動中のカルガモの雄でしょうか?しきりに雌の気を引こうとしています。カモ類は一般に日本で越冬し春には北国へ帰っていきますがカルガモは日本で繁殖します。最近は都市の人工的な水辺で繁殖し、たくさんのひな鳥を引き連れて引越ししている微笑ましい光景が見られます。これは産卵場所から子育ての場所への引っ越しと考えられます。ほとんどのカモは繁殖期の雄は目立った色彩の派手な姿で雌を引き付けていますが、カルガモは雄雌ほとんど見分けがつきません。やはり産卵、子育てはもっぱら雌の役割のようです。



35 ナキリスゲ   (かやつりぐさ科)

 

秋から冬にかけて島熊山の観察コースの足元に、青々と葉を茂らせている草があります。よく見ると穂(雌花の集まり)がのび出していて、その先端部に褐色の尖った部分(雄花の集まり)があります。 

 漢字で「菅」と書けばカンとかスガと呼ばれたりする人の名前がありますが、「スゲ」と言えばかやつりぐさ科のスゲ属の植物を指します。この植物群はどれもこれも姿が似ていて判別がしにくいのですが、秋に開花するのは限られています。漢字で「菜切菅」と書き、細い葉の縁には目に見えないほど細かい逆とげがあり、手でさわってみるとざらつく感触があります。テキリスゲほどその切れ味は鋭くはなく、手は切れないけど菜っ葉なら切れるという意味でしょうか。



34 アオキ  (みずき科)

 

茎も葉も年中アオアオと茂る常緑の低木です。学名のAucuba japonicaは日本産の「あおきば」とよばれている木ということから名づけられたとか。島熊山ではよく茂った森の少し薄暗く湿った林床部に多く見られます。春先に新芽の中心からチョコレート色の小さな花をつけます。庭木としては雌株の方が冬場に赤い実をつけることから重宝されています。      

 

楕円形の小指大に熟した正常な果実は、ヒヨドリなど野鳥の好物で、食べられたり、完熟して落下したりして初夏まで残ることはありません。写真右のように雌花が咲くころまで残っている実があります。よく見ると形が少しいびつで、色も部分的にむらがあるように見えます。これは、アオキミフクレフシとよばれる虫えい(虫こぶ)の一種で、この実を割ってみると中に数匹のアオキミタマバエという寄生バエの幼虫が住みついているのが見られます。なんと、この虫が成虫になり飛び立つ初夏のころまで果実が落ちずに枝に残る工夫がされているようです。

   雄株(雄花)    雌株(雌花と虫こぶ)



33  オオジシバリ  (きく科)

 

 春の野山は黄色の花のオンパレード。どれもこれもタンポポのように見えますがよく見ると少しずつ違います。オオジシバリは島熊山の南側外周斜面の桜の木の下など、少し日陰で湿った所に群生しています。葉はさじ状で柔らかく、茎は地面を這うようにしてのび、ところどころ根を下ろす様子から地縛りという名前が付いたようです。一方写真右のブタナ(別名タンポポモドキ)はヨーロッパ原産の帰化植物で、要注意外来生物に指定されるほど繁殖力が強く、特に葉はロゼット状に地面に張り付いていて定期的な草刈機による作業では除去することが難しく、島熊山の東側外周斜面で猛烈に勢力をのばしています。在来のオオジシバリやニガナなどが減少しているのが気がかりです。

    オオジシバリ                ブタナ



32  シュロ (ヤシ科)

 

九州南部に自生する和棕櫚はたわしの材料として和歌山で植栽されています。葉柄の基部から三角形の網目状に幹を抱くように包んでいる柔らかく長い繊維を利用します。一般に出回っている安価なたわしは熱帯のココヤシの実から取れる少し硬めの繊維が用いられています。

 中国原産の唐棕櫚は葉が小型で硬く、葉先が垂れないのが特徴です。古く江戸時代から庭木として植えられています。

島熊山の林内にはこの両種とも生えています。周辺の住宅の庭から野鳥により種子が持ち込まれ、大小さまざま、集団で生えていたりして熱帯のジャングルかと思わせるような状態になりつつあります。実生でまだ小さい間に除去することが島熊山の原風景を守るためには必要かと思われます。

ワジュロ       トウジュロ



31 クズ (マメ科)

 

猛暑の8月は休業、奇数月の9月は第2金曜日が定例の作業日です。朝9時すぎ、久しぶりに文化館の駐車場に集合してみるとワレモコウの保護区や、フェンス入り口左手のアキグミに覆いかぶさるように繁茂するクズが目につきます。大きな葉の隙間から覗いている赤紫色の花は下から順に咲き上がり、秋の終わりには大豆のような果実になります。一年草の大豆とは違い、多年草のクズは地下の根にでんぷんを蓄えることができ、年ごとに太く成長します。

 北米では、庭園の装飾や道路などの斜面の土壌流出防止用に日本から移植されたものが逃げ出し、そのあまりにも強い繁殖力のため「侵略的外来種」に指定され、駆除の対象にされているようです。島熊山でも雑木林の保全のためクズとの闘いが続いています。

 嫌われもののクズですが、万葉の時代から秋の七草の一つとして選ばれたり、「葛の風 吹き返したる 葉裏かな」と虚子の俳句に詠まれるなど、古くから人々に親しまれてきました。現在でもクズの根は葛根湯の原料として、葛粉は高級和菓子の材料として利用されています。 



30 カスミザクラ(ばら科)

 

新学期も始まり春の便りもひと段落した頃、パステルカラーのコナラやクヌギの新緑を背景に、黄緑色の若葉の間から小型の花をまばらにつけるのがカスミザクラです。島熊山ではソメイヨシノより早めに咲くヤマザクラの自生も見られますが、野生の桜としてはこのカスミザクラの方が多いようです。花期はヤマザクラより3週間ほど遅れ4月下旬です。

 この時期、千里緑地や服部緑地など近郊の山で咲いているのを見かけたら、ぜひその葉を1枚とって裏を見てみましょう。光を反射して光るのが特徴で、白っぽく見えるヤマザクラとは質感が対照的です。花や葉の軸に細かい毛があり、別名ケヤマザクラとも呼ばれますが変異に富んでいてほとんど毛のないものもあります。(M)
























 14 ソヨゴ(もちのき科)

 

秋になるとおなじみの紅葉とともに目だってくるのが木の実です。小さい果実ですが熟して黒くなるものと赤くなるものとがあります、やはり赤くなるものの方がよく目につきます。ソヨゴもその一つで、島熊山ではよく見られます。関東以西の山地に普通の常緑樹です。

 菓はやや硬い感じで、表面につやがあります。葉の縁が波打っていて、風にそよいでいるように見えることからソヨゴという名前がついたそうです。また、風に吹かれるとざわざわと音がするからソヨグから転じてソヨゴになったとも言われています。雌雄異株で、6月頃白い花が咲きます。秋には7mmぐらいの球形の果実になり、やや長い柄の先につきます。赤く熟した果実は鳥たちの食物となります。 






10 モウソウチク(いね科)

 

ふつうタケと呼んでいるなかまは、茎が年をとるごとに太ることがないので木のなかまには入れていません。またこれらはタケとササのなかまに分けられます。筍が出て間もなく竹の皮を落としてしまうのがタケ、竹の皮が腐ったりちぎれたりするまで茎についているのがササのなかまです。モウソウチクはハチク、マダケと並んでタケの代表種ですが、いずれも中国原産で各地で栽培されてきました。モウソウチクは筍が最も早く出て大きく柔らかいので専ら食用にされてきました。モウソウチクの節(ふし)の環状のふくらみは一重であり、ハチクとマダケが二重になっているので見わけることができます。竹の皮の表面に粗い毛があることもモウソウチクの特徴です。ハチクはマダケに似ていますが葉や枝先が細くて柔らかい感じです。竹穂垣や竹箒に用いられています。耐寒性が強く、かっては食用にもされ材も活用されていました。マダケは材が優れているので工芸品に使われてきました。枝の第一節間を切ると中空になっているので他と区別できます。 











4 アキグミ(ぐみ科)

 

島熊山の千里少年文化館の方から観察路に入ったところに、赤い実をつけている木を見ることがあります。左側にあるのがアキグミで、右側がナツグミです。写真はアキグミです。 

アキグミは落葉樹で、5月ごろに白い花をつけます。果実は球形で、秋に赤く熟します。これは食べられます。秋に熟すのでアキグミと呼んでいます。ナツグミは晩春に開花し、初夏には楕円形の実が赤く熟しこれも食べられます。ナツグミは晩春に開花し、初夏には楕円形の実が赤く熟しこれも食べられます。 

最もよく見かけるナワシログミは常緑樹で、枝が針のように変化したとげをもっています。花は白く、10月頃に咲きます。果実は翌年の初夏に赤熟します。苗代を作る頃に実ることからこの名がつきました。果実は食べられますがやや渋みがあります。グミのなかまはいずれも葉の裏が白っぽいのが特徴です。 







1 スイカズラ(すいかずら科)

  

島熊山の森で変わった形の花を見かけることがあります。花の形は物を吸うときの唇のような形にも見えます。この花には蜜があり、吸うと甘い味がします。

これらのことからスイカズラという名前がついたと言われています。日本全土に見られるつる性の常緑木本で、茎に向かい合ってつく葉は冬でも枯れないので忍冬(ニンドウ)ともあります。花は初夏に2個ずつ並んで咲き、はじめ白色でやがて黄色に変わります。2色の花が咲くように思われ、金銀花と呼ばれることもあります。若い枝につく葉は深く切れ込んでいる場合があり、これだけ見るとまったく別の植物であるかのように思われます。200年前、ツュンペリーが日本にきてこれをみつけ、ロニケラ ヤポニカという学名で新種としましたが、時代が変わって、その後アメリ力大陸に帰化したものは大繁茂して困りものになっているということです。